私の生まれ育った町は小さな田舎町です。
中学校を卒業すると高校へ進む人はごくわずか。ほとんどの同級生は、県外へ就職したり、職人をめざし見習いとして弟子奉公につきました。
義理の兄が大工で工務店を開業していたこともあり、私も大工見習いとして、そこで住み込みで働くことになりました。それまで私は、大工さんになりたいとか、家を建てるとか、そのようなことは考えたこともありませんでした。先に入った兄弟子たちが数人おり、入りたての頃は掃除や片づけなど使い走りが私の仕事でした。夏は暑く、冬は寒い、重い材料の運搬など、大変辛い仕事でした。今だから話せますが実家へ逃げ帰った事も何度かあります。 そのうち、夜間の建築職業訓練校へ通うようになりました。昼の作業が終わってから通うのです。そこで自分と同じような仲間が出来ました。
日々お客様の家を作る作業をする中で親方や兄弟子たちの作業を見ながら仕事も少しづつ覚えていきました。「自分ならこうする」そして、やってみて褒められる。
徐々に家づくりの仕事がおもしろくなっていきました。
お客様が使いやすくするには。
住みやすくするには。
自分の考えがお客様に気に入って頂き「良く作ってもらえてうれしい」「また頼むよ」と言われ、この仕事が好きになりました。
これが私の原点です。